2 健康管理の内容 

ハンドボールにおける健康管理の内容としては,健康診断,健康観察,栄養管理,生活管理,安全管理などが考えられる。指導者は,セルフケアの指導を行うためにも,これらの内容を知っておかなくてはならない。

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1)健康診断(メディカルチェック) 

激しいスポーツ活動を行うハンドボール選手は,厳しい健康診断を行って事故や障害を防ぐことが大切である。そのためには,スポーツ選手に特別に対応したチェック項目を含んだものが必要である。その例をあげると,内科検診,整形外科検診,血算(赤血球,白血球の数値の検査),血液生科学検査,心電図,胸部X線撮影,女子選手に対する婦人科アンケート調査がある。しかし,日常的にはこのような特別な健康診断は難しいので,学校,事業所で行われる健康診断を用いる。 

これらの記録は,1冊の健康管理手帳にまとめて記載し,練習内容や競技成績,疾病・外傷などの記録をしておくことはたいへん有効である。これらは,試合先や合宿での受診の際にも活用できるし,そのときの記録を残しておけばのちのちの役にたつことになる。この健康診断を成果のあるものとして健康管理の実をあげていくためには,次のようなポイントが大切である。

≪健康診断(メディカルチェック)の徹底≫ 

健康状態を把握することが目的なので,選手に自覚症状がなくても,できれば定期的に年2回,全員に受診させることが重要である。また,健康記録が積み重なれば,万一障害に陥ったときにも治療に対するよい参考資料となる。

≪診断結果の事後処理≫ 

診断結果は,医師とも相談のうえでトレーニングに生かすようにする。また,少しでも異常所見が発見されたら,精密検診を受けさせるようにする。当然のことだが,最終結果が判明するまではトレーニングを中止させる。

2)健康観察 

トレーニング,試合,日常生活などにおける選手の状態を的確に把握することは,潜在性疾患の発見などにつながることがあるので大切である。内容としては,顔色,表情,態度,動作,会話,血圧,脈拍,呼吸,体温,体重,食欲などがあげられ,選手が心身ともに充実しているかどうかを見きわめる。指導者が選手に何か異常を認めたとき指導者として大切なことは,自分の経験とか希望や好みで勝手に判断しないことである。まず専門家に相談し,必要ならばなるべく早く受診させる。

3)生活管理 

ハンドボール選手の日常生活は,学生・生徒においては就学,社会人にとっては就業生活が中心となるであろう。このような中で,選手としての健康を維持していかなくてはならない。そのためには,休養がまず第1に重要な要素となろう。

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