のエネルギーとして脂肪エネルギーを多く使っているということであった。 

こうしたエネルギーサイクルの違いは,体組成の違いによるものである。一般に女性は男性に比べて筋組織は少なく,その分脂肪組織が多いと言われている。つまり,女性のほうが体重あたりで考えた場合,はるかに多くのエネルギー源を持っていることになる。しかし,エネルギー源が多いからといって,いざスポーツ場面での出力となれば,筋活動を通して発現するものであるから,その結果として体重あたりの筋力の差だけ男性のほうが高い成績を出すことになる。 

これまでは,−般的に男性に比べ女性は,筋出力の低いことから弱いものと考えがちであったが,これは間違いと言える。筋力に応じたトレーニングの負荷の適性(質的条件)は十分に考慮すべきであるが,男性より量的に多くてもオーバートレーニングになることはない。 

今後の女性のトレーニングの対応としては,量を主内容としつつ質へ変化させることであろう。トレーニングの長期具体化にあたっては,思春期まではまったく男性と同様なトレーニングやよいと思われる。むしろ,思春期が男性よりも若干早い分だけ男性より早く,質的にも量的にも高いトレーニングが望まれる。ソウルオリンピックで金メダルに輝いた韓国の女子のトレーニングは,まさにこれを先取りして実施したための結果であると思われる。思春期以後は,女性としての特性が現れるために,質的適性を考慮しつつ,量的にポイントをおいたトレーニングが望まれる。

4.ハンドボール・プレーヤーの体力

(1)筋力トレーニング

身体運動は,すべて筋の収縮によって行われる。この筋の収縮によって発揮される力を一般に筋力というが,この筋力アップをねらいとしたトレーニングには,次の2つの養成方法がある。

① 運動単位の動員能力の養成

神経刺激によって筋の収縮が行われるが,最大筋力が発揮されるためには,神経一筋の運動単位の動員能力を向上させなければならない。この側面からの筋力アップをねらいとしたものを,パワーアップ型の筋力トレーニングとよんでいる。

② 筋肥大の養成

筋線維が肥大することによっても最大筋力が向上する。この側面からの筋力アップをねらいとしたものを,バルクアップ型(筋容積の向上)の筋力トレーニングとよんでいる。 

146-p最大筋力は,例えばウエイトリフターやパワーリフターのような,典型的な筋力系スポーツの基礎となる。動かす負荷が大きければ大きいほど,最大筋力の依存度は高くなるが,ハンドボールでは最大筋力そのものが要求されることはそう多くはない。しかし,相手プレーヤーとの身体接触が許されていることから,筋肥大を目的とした筋力トレーニングによって,コンタクトに強い,けがのしにくい身体を養っておく必要がある。 

また,最大筋力のレベルが「無気的パワー」や「無気的持久力」に効果的に影響することが明らかになったことから,これを無視できない。特に,

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