頻度は,具体的に日または週の単位で表される。持続時間に加えて運動負荷の量的条件として頻度が必要なのは,われわれの生体の働きのうちには,その器官や機能によってそれぞれ特有の刺激間隔で刺激を受けることによって,高いレベルのトレーニング効果を獲得するという性質を持っているからである。
原則的には,各体力要素別トレーニングも,その他のトレーニング内容となるものも,毎日行うことが高いトレーニング効果を得るとされている。しかし,トレーニングのねらいやそれに伴う運動負荷の内容によって,刺激間隔を適正に考慮することは,それぞれのトレーニング処方による高い効果を期待するためには不可欠な条件である。
具体的に筋力トレーニングでは,一般に毎日行っても1日おきに行っても,その効果に大きな差はないと言われているが,それ以上間隔をおいた運動負荷では,効果はないと言われている。
筋持久力トレーニングでは,頻度の重要性が増す。週1回だけ休みとして6日続けて行う場合と,週のうち3回行う場合とでは,そのトレーニングの効果に2倍近い差がみられたという報告もある。
持久力性のトレーニングでは,さらに持続時間とともに頻度が重要であり,過労にならないように考慮することを前提として,毎日これを行うことが最も効果的である。
最後に,頻度を考えるうえで忘れてはならないのは,どのような頻度であれ,1つの頻度条件を設定したならば,一定の期間その頻度でトレーニングを続けることにある。これは,高い全身の機能の協応を必要とする機能トレーニングにおいては,とくに考慮されるべきことである。
体力トレーニングの処方を考える際に,そのトレーニングを直接競技力と結びついた状況で効果的に行うためには,そのトレーニングの開始時期や,その種目に最も適した年齢などに関して,それぞれの対象の発育・発達状況をよく理解しておく必要がある。
人の発育の早さには遅速があることはよく知られていることである。例えば,一般に思春期にみられる発育曲線のピークは11歳から15歳までの幅がある。すなわち暦年齢と生理学的年齢には若干のずれがあり,また,一定の刺激に対する生理学的反応や適応能力にも個人差がある。したがって,どの時期にどの程度の運動強度のトレーニングや,どのような種目を行えば身体に害をおよぼさないかを判断することは非常に困難なことである。
当然,個人差や性差による発育速度の違い,あるいは生理学的反応や適応能力にも差がある。
このようなトレーニングの開始時期や,発育に応じたトレーニングに関しての注意は指導者にとって重要なものであり,どの対象に対しても同様なトレーニングを実施したり,適応能力にあっていないトレーニングを実施することはたいへん危険なものとなる。