143-zらいの心拍数の運動であるかによって処方するのがほとんどである。

スピードの場合は,そのスピードを処方のどの条件に用いるかによって違う。一般には,その競技の最大スピードを指標とし,その何%といった処方をとるが,より高いスピードの増加をねらいとするスピードトレーニングでは,最大スピードよりも高いスピード状況をつくりだし,より高いスピードを処方する場合もある。 

パワーなどの場合には,力とスピードの合算されたものの水準が強さの条件となるが,その時々のトレーニング条件によって,力またはスピードといったそれぞれの強さの比率の組み合わせから,そのトレーニングの強さを具体的に処方する。 

なお,指標としての強さの基準を得ることの困難な場合の強さぁ処方は,常にその課題の最高限界を処方とするのがよい。 なぜならば,それは最も高い条件を示すものであるからである。

(3)運動負荷の量的原則

新しい適応を生み出すのは,トレーニング刺激としての運動負荷の質的原則だが,これを適応能力として身についたものにするのは,トレーニング刺激としての運動負荷としての量的条件である。前記したように,いかに効果を持った良薬でも軽い症状ならばともかく,たった一回の投薬で全治するということがないように,十分な質的条件を満たす運動負荷であっても,それが一定の運動負荷としての量的条件を満たすことがなければ,新しい適応の獲得とはならない。すなわち,トレーニング効果の獲得は,トレーニングの量によって決定されるといっても過言ではない。 

トレーニングの量は,トレーニング処方では運動負荷の持続と,そのトレーニングを毎日かまたは1日おきか,過1回というようなトレーニングの繰り返し(頻度)といった2つの条件によって量定される。

(4)運動負荷の持続時間

運動の負荷時間は,負荷される運動の種類や内容によって異なるが,一般に秒または分といった単位で処方される場合と,回数という単位で処方される場合がある。 

筋力トレーニングはこの両者の併用が多いが,アイソメトリックトレーニングのように,動きのない筋力の発揮時間をトレーニング内容とするトレーニングでは,そのような持続時間によって処方する。 

しかし,バーベルやダンベルを用いる動的なウエイトトレーニング,また,一定のフォームと等速度で運動を反復するアイソキネテイクトレーニングなどでは,運動リズムを一定にするようにして,運動回数をカウントする処方が便利である。 

筋持久力の場合,筋力や筋持久力ほどの量の条件づけは容易ではないが,最も短い時間でも持久力保持のための全身の機能が,負荷された運動に参加するまでの時間(もちろんこの時間は運動負荷の強さによっても異なるが,全力の50〜60%位のかなり強い運動の場合でも,5分は必要とされている)以上の持続時間が必要であり,この場合

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