体力トレーニング法

1.体力トレーニングはなぜ必要か

ハンドボールを含め,近年一般にスポーツと呼ばれるものすべては競技スポーツである。競技スポーツの特色は,一定のルールにもとづいて,それぞれの競技場においてすべての能力を発揮し合い競争することである。このためには,競争するだけの心身の準備が必要である。この準備とは,意志力を含めた人間のすべてのスポーツ能力を強化・発達させるということである。スポーツの現場では,こうした人づくりとともに,当然ながら直接競争に関与する強い競技力が課題となる。 

一般に,競技力を構成する要素として,まず中核的存在となるものは,運動課題を解決する技術的側面と,この技術的裏づけのうえで,戦術的要素があげられる。 

また,体力的側面では,これまでの一般的体力の強化ではなく,それぞれの種目に応じた専門的体力としておさえなければならない。知的・精神的側面では,競技場で生じる闘争心,集中力,自信,不安などの中での自己の制御能力なども重要となる。 

この技術,戦術,体力,精神力という1つの競技力の構成要素は,現実の運動場面でそれぞれ独立して存在しているわけではなく,これらは相互に密接な関係を持ったものとして存在している。このような関係は,それぞれの種目の特性によって,その力の度合いが変化してくることは当然である。 

その中で,体力の養成は,当然直接的には人間の形態,機能的側面に作用をおよぼすものであり,選手の身体的準備としてのスポーツトレーニング全体の基本的側面を形成しているものである。つまり,今後いろいろな技術を身につけていこうとする選手にとっての,それを受け入れる側の身体的な準備であり,より大きな成果,より多くの運動の習得のためには,選手は,この身体的準備を可能な限り大きくすることが不可欠であることは明白である。

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