Mraz氏の指導は,この点で示唆に富んだトレーニングを提示してくれた。

○練習目的 

片側サイドでの3対3型式でのグループ攻撃戦術

○練習課題

図1:45度プレーヤー(攻撃)とポストプレーヤーのクロスプレー,およびサイドプレーヤーとの平行合わせ

 図2:45度プレーヤーは,すぐにステップバックして次のサイドプレーヤーからパスを受け,ポストプレーヤーと合わせてシュート,または ポストプレーヤーへのパス

49z

図1での,グループ攻撃戦術の仕方(45度とポストのクロスとサイドプレーヤーとの平行合わせ)の課題と,図2での,ゲーム場面により即した(サイドプレーヤーがシュートを打てず,切り返しプレーに対応して45度プレーヤーが位置を取り直しての展開)課題を同時に与えながら,戦術的能力をトレーニングする。

3 Simon Schobel

○トレーニングの質を高めよう

昭和60年2月,当時西ドイツナショナルチーム監督であったシモン・ショーベル氏を招いて,東京および名古屋で講習会が開催された。彼は,1983年にナショナルチーム監督に就任し,世界男子ジュニアで準優勝,ロサンゼルスオリンピックではチームを準優勝に導くなど,日本の指導者の注目を集めた中での来日であった。 

49p彼の指導は,オリンピックでキャリアの浅い若手選手をまとめ上げた実績からも明らかなように,毅然とした態度が印象的であった。講習内容は,技術に関連した走・跳・投など,「動き」の質の改善をめざしたトレーニングが多く取り上げられており,トレーニング開始のウォーミングアップからすべてのメニューを終了するまで,トレーニング活動全般の管理および指導は,さすがによく徹底されていた。個々の選手に対しては,常に動機づけを行い,トレーニングの質を最適に行う工夫がなされていた。

                  

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