ールの面白さが引き出されるといえよう。

2)ゲームの様相

 初心者には初心者のゲームの展開の仕方,ゲームの様相がある。次頁の図は,ハンドボールのゲームの様相を示したものである。それぞれの発育・発達段階,およびゲームの様相レベルに合わせて指導がなされる必要がある。ゲームの状態により必要とされる個人技術や集団技術の課題を設定し,課題解決に向けて練習しながら新たなゲームをする。この繰り返しの中で,個人もチームも技能の向上がみられることが望ましい。個人技術,集団技術を単独で取り出してきてその練習を繰り返しても,ゲームの中で活用できる練習をしなければ,それは練習のための練習としか位置づけられない。ゲームから要求される技術,ゲームで活用できる技術の開発でなければならない。指導者が選手に期待しているのは,個々の技術の卓越だけではなく,ゲームそのものの質的向上であり,技術の卓越が生かされたゲームの運営であろう。
 初心者は,パス,キャッチも満足にできないからその練習ばかりするというのではなく,ゲームもしくはできるだけゲームに近い状態で練習の工夫がなされなければ,いざゲームになったとき,どの技術をその場面で駆使するのかの実践的応用は,練習では得られないことになりかねない。 その状態に応じて最適な技術の練習をすることによって,練習で技能として身につけた技術を次のゲームに生かすという,「全習一分習一全習」法による指導が不可欠となろう。このような練習形態や練習態度の習慣が定着したならば,初心者でもゲームをしたいという動機づけを,指導者はゲームの構造の発展に不可欠と見なされる分習として準備することになる。

3)ゲームの様相と指導法

 初心者が多いクラスの場合,第1段階の密集型のゲーム様相を示す場合が多く,パスミス,キャッチミスが多くみられる。
 この第1段階のゲーム様相を示すゲーム展開がなされる場合,得点力を向上させる有効な手段は速攻である。この段階では,静止した状態でのパス・キャッチがやっとできる程度の技術しか持たないので,速攻時に必要な移動しながらのロング・パスや,キャッチの技術を習得させることがまず第1である。 次に速攻でのパス・キャッチができるようになると,助走スピードをゆるめずにキャッチからシュートができるように指導していくとよい。以上の技術がある程度習得できると,ゲーム様相は第2段階の特徴を示す。
 第2段階では,速攻による得点が増加するので,速攻に対する防御方法を指導すると第3段階のゲーム様相を示すようになる。この第1、第2段階では速攻の技術としておさえられる。
 第3段階では,速攻に対する防御者がいるので,防御者のいないところへ移動したり,カットインからシュートができるようにする。防御者が複数になったら,1人での攻撃ではなく他の味方プレーヤーと協力して攻撃する技術(ユニットプレー)を練習するとよい。攻撃する技術(攻撃ユニットプレー)がある程度習得できると得点は再び増加するので,それに応じた防御技術(防御ユニットプレー)を指導するとよい。 この防御ユニットプレーの練習で,ハンドボールでのゾーンディフェンスの有効性を理解させると,第4段階の特徴を示すようになる。第4段階では,全員で攻撃が行える(ユニットプレーを軸

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