今日,ハンドボールは大きな発展をとげている。世界のハンドボール競技人口は400万人を数え、IHF(国際ハンドボール連盟)に加盟している国は100カ国を超えるまでになった。
 また,7人制の統一ルールの下に,オリンピックや世界選手権などの多くの国際大会も活発に行われ,サッカーやバスケットボールと並んでメジャーな球技の1つとなっている。
 しかし,ここに至るまでには,その時代代の背景や要求,先人達の労などが関わっていたことをしっかりと把握しておく必要がある。

 本章では,ハンドボール成立の契機がなにであったのか,また,その特性をどのように保有し、普及・拡大への営みを形成してきたのかなどに視点を置いて,ハンドボールの発展の歩みを簡潔にとらえていきたい。そして,その中から現在抱えている問題の解決の糸口を探ってみたい。

 1ハンドボールの歩みと現況

1)ハンドボールの成立

9-p ハンドボールが今日のような競技形式を整えたのは20世紀にはいってからであり,公式には1919年,ドイツのカール・ジェレンツ(Karl Schelenz)による競技規則の制定が起源とされている。シェレンツは,19世紀の末ドイツで盛んに行われていたラグビーに似たラフバル(Raffball)を改良した女性のためのトーアバル(Torball)をもとに,サ

次ページへ