*11人制ハンドボールの特徴

 最後のルールでは35mのところにラインがあり,攻撃プレーヤーが6人を越えるとオフサイドの反則となった。また,シュートはサッカーゴールに向けて13mの半円の外から投げられ,ペナルティースローも14mの地点から行われた。ダブルドリブルは反則とならず,両手で何度もドリブルをする場面や,スパイクシューズやトランクス姿でプレーする光景もみられた 。

 第2次世界大戦の世界の再編にともない,日本も1952年にIHFに加盟して7人制のハンドボールを採用した。そして1954年には女子の第1回室内選手権が開かれ,これを契機に7人制が11人制と同様に展開されるようになり,1963年には完全に7人制に1本化されるに至った。

 国際的にも,1972年のミュンへンオリンピックに初参加し,その後も活発に活動し一定の成果を収め,アジアでリーダーシップを発揮してきたが,近年,韓国,中国やアラブ諸国の台頭により苦境にたたされている。大谷武ーによる日本への移入から70年あまりの歳月をへた今日,彼が企図したような国技の1つになるまでには至っていない が,その可能性は拡大してきており,今こそ,彼の導入時の精神が生かされなければならない。

5)ハンドボールの現況

 日本ハンドボール協会設立50年を記念して刊行された「日本ハンドボール史」の資料によると,IHF加盟国や競技人口は年々増加し,その発展を窺い知ることができる。しかし,今日その質的課題としていくつかの問題が提起されており,メジャースポーツヘの展開は,この問題解決の努力によるといっても過言ではない。
① 組織的拡大として3大陸(アジア,アフリカ,アメリカ)の発展のプランがどのように作成されるか。つまり,ヨーロピアンハンドボールからの脱却が可能なのか。
② ボールゲームとしての未来構想をいかに設定するのか,はたしてバスケットボールに限りなく近づくのか。
③ マスコミ,メディアに,強烈なそして新鮮でエレガントな印象をいかにして与えるか。商業主義に害されずに,しかしよきスポーツ市場に なりうるか。
④ 学校体育にとどまらず,地域・職場の社会体育,生涯体育としての展望と具体的施策をいかに構築するか。子どもから老人までの裾野の広い活動ができるか。
⑤ 指導者の養成と活動の評価,補償がどの程度できるか。また,初級から上級,教育と競技のためのハンドボールの指導内容をいかに構造化 していくか。

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