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えることにより始めてなされることがわかった。 しかしながら,ここに示したように,技や技術の表記の観点が提示された。すなわち,技については,まず技の形態的課題を,キーパーに対するシューターの体勢の変化や姿勢の変化の観点から明らかにする。さらにそこに示したよう に,技の課題を解決する仕方を問題にする技術の抽出の観点が提示された。その際,運動経過の先取的徴表や技術的徴表の抽出にあたっては, 自己観察を補うことにより明瞭にとらえられる可能性が明らかにされた。又,自己観察と同様,他者観察は訓練されるべきであると考えられる。 撮影にあたっては,さらに正確な資料が欲しい場合には,できるだけ小さい像角度と撮影面にできるだけ平行に運動方向をとること,そして 背景から浮き彫りになること19)を考慮すると, シューターの横から同時に撮影するという方法を加えることが有効と考えられる。

5.結論一観察と記述によるとらえ方の方 向性と問題性 

まず我々は,技と技術を区別し,よく訓練さ れた自己観察と他者観察によって,技の運動経 過を記述する必要がある。技に関しては,その 課題性を明らかにし,技術や先取に関しては, 自己観察と照らし合わせることが有効であると考えられる。すなわち,運動形態学的考察法の可能な範囲内において,A.運動遂行者の視点, およびB.運動観察者の視点から総合的にとらえる必要がある。  

Aの視点では,自己観察の意味を拡大解釈し, 項目やその出し方を詳細に検討する必要がある。 運動を完全に記述することは不可能に近いが, 実験でも得られたような「ひっぱる」とか「ためる」というさばき方を表わす言葉は実際に現場で語られているのである。その事実を知れば, このような技術の表記や,優秀な選手やコーチ

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