5基本に裏付けされた個性あるコンビネーション

ゲームを見ているとそのチーム独自のコンビネーション、あるいは特定の選手同士によるコンビネーションが見受けられます。個人技に裏打ちされたコンビネーションほど、攻防に影響力を及ぼすものはありません。
 個人の技術的なものは、ハンドボールの長い実践活動の中から磨かれ理論化されて確立してきました。そして現場の更なる要求に応えるものとして、新しい技術が開発されてきています。新しい技術は簡単には出現しませんがそれでも、長い単位で見ると技術は、大変進化してきています。技術に比べて、コンビネーションは個人と個人の組み合わせであり、技術より独自性が打ち出しやすく進化しよい性質をもっています。
 一人の一つのプレイをとってみても、タイミング、コース、動作を変えるだけで無数のプレイヘと変化することができます。それを二人の動きとしてプレイすれば、数々のバリエーションが生まれます。このことは、同じコートでプレイする仲間で、追求していけば多くのコンビネーションが生まれる可能性をもっています。個人の技術の創造性には、限界が見えても、二人、三人となれば、創造的プレイに限界はありません。
 ハンドボールは手で行うスポーツであることから、考えた事が実行に移しやすい性質があります。この創造的なコンビプレイは、選手、指導者の知恵によって生み出せるものであることから、ここに日本の特徴を見いだすようにしていかなければなりません。日本のハンドボールも長い歴史を持ちます。培われ磨き上げられてきた日本独自のコンビネーションや世界で繰り広げられるコンビネーションを拾いだして整理し、きっちりとした基本の上に立脚した個性的な日本独自のコンビネーションを見出さなければならない時です。

6ゲーム構想の確立

 ゲーム構想とは、チームがどのような戦い方をするのかその具体的な方法です。指導者は、自チームの競技力の状況から、現状、将来を見込んで戦い方の構想を具体化する事が必要であり、それを実現するために日々のトレーニングがあります。このゲーム構想は全ての指導者がもつべきものであり、そこに指導者のオリジナリティが生まれるものです。
 ゲーム構想の具体化のためにはゲームを構造的にとらえることが必要ですが、そのことは1997年アランルンド氏が来日のおり、スカンジナビアの考え方として明快に示してくれた。ハンドボールゲームをいくつかの局面の循環として捉え、その局面のもとにチームの戦術を構想してトレーニングすべきであるとしたのです。ゲーム構想を構築する上で、ゲームの構造上の観点からいくつかの事柄を述べたい。

・局面の考え方

局面の考え方は、国によって違っていますが、そのことを参考に筆者は表1、2の通り、局面を整理してみました。

z97-1

z97-2

局面は速攻の攻防、セットの攻防の基本的な4局面とフリースローなどの特定的な局面があります。基本的な局面はさらに細分化されます。たとえは組織攻撃(セットオフェンス)は時間の経過に従って5つの小局面に分類されます。指導者はそれぞれの局面に対してチームとしてどのような攻撃方法をとるのか策定しなければなりません。それぞれの局面に基本的な方法はありますが、指導者や個人、チームの個性に合わせた戦術を考案する事によって独自性のあるチーム戦術を構築することができます。そこに指導者としての面白さや腕の見せ所があります。

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(参考資料)
2016リオ・オリンピックにおけるハンドボール男女出場選手の チーム別に見た身長、国際試合出場回数等について
2013男子・女子世界選手権大会出場選手の国別、成績別身長・体重について

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