勝敗について

ゲームは,勝敗を競うものである。勝敗は偶然の要素で決まるものではな い。勝ったのは勝てるだけの力があったのであり,負けたのは,負けるべき 要素があったためである。ゲームにおける勝敗は,そこに至る長い練習過程 の結果である。その過程の中に,勝つべき要素負けるべき要素は存在してい るものである。ゲームにおけるツキ・好運は,偶然ではなく,それも練習過 程の中でつちかわれているものである。

勝つことを目標にしないゲームはない。よく「勝つこと」を口にするとき, 悪い意味での「勝利至上主義」と言う人がいる。その人達は,「楽しみたい」 「最善を尽くせばよい」という。しかしそういう人であっても時間をかけ, 多大なエネルギーを使い,練習をして「楽しみ」や「最善を尽くす」ゲーム をした結果負けてしまったとき,その結果は,相手より何かが自分達に劣っ ていたのだということに気がつくはずである。相手は自分達より何かが優れ ていたのであり,それは自然に備わったものでなく,努力によって得られた ものであると気がつくとき,勝敗というものは,どちらがそれに至るまでに 最善を尽くしてきたかの結果に基づくものであるということがわかり,勝敗 に深い意味を感じるようになるものである。

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